民間金融機関の融資 審査のポイント

ー融資について

中小企業にとって、民間の金融機関も重要な資金調達先です。審査のポイントを知っていただくことで、事前準備をもれなく行い、スムーズな資金調達に繋げることができます。

民間金融機関の選び方

どのような視点で、お付き合いする金融機関を選んだらよいかというポイントを解説します。

自社と規模感が合っているか

有名な金融機関だとみずほ銀行や、三菱UFJ銀行など、メガバンクを思い浮かべますが、中小企業の場合、これらのようなメガバンクとお付き合いするケースは比較的少なめです。

第一地方銀行といわれる金融機関は、地域の中堅企業が主な取引先となります。中小企業では、第一地方銀行から第二地方銀行、そして信用金庫や信用組合から融資を受けるケースが多いです。

本業支援にも力をいれているか

地域に密着した金融機関のなかには、融資先企業の課題をヒアリングし、社内のイントラネットに共有し、他の担当者と情報交換をして、企業同士のマッチングを行う本業支援にも積極的なところもあります。

本業で儲かってもらって、融資につながればよいとの考えから、融資先の事業の発展を一番に考え、支援しようとする姿勢をもつ金融機関も増えています。

金融機関のHPを確認したり、金融機関の担当者と話してみるなどして、自社のことを応援しようとする姿勢があるかどうかも見極めの材料です。

本業支援に一生懸命になるあまり、金融機関の金融機能をおろそかにしてはよいというものでもありません。金融についての知識や考え方があるかどうかも担当者や支店長とのやり取りから感じ取ることも大事です。

民間金融機関の審査のポイント

日本政策金融公庫であっても、民間の金融機関であっても、後に返済してもらうお金を貸すのですから、審査ポイントは似通っています。重複するところもありますが、民間金融機関のほうが日本政策金融公庫よりも審査が厳しくなることがほとんどです。

財務内容に問題はないか?

日本政策金融公庫の場合とほぼ同じです。先述した通り、債務超過状態だと融資がほぼ難しいことになります。実現可能性の高い5か年での経営改善計画とセットで融資を申し込むことになります。

最近では、「困っているところこそ助けよう」と積極的にリスクをとる信用金庫も登場してきていますので、絶対に融資が通らないというわけではないので、一度相談してみてもよいでしょう。

資金使途は何か?金額の妥当か?返済財源が確保できるかどうか?

何のために資金を必要とするのか、その金額は少なぎず、多すぎずの見積りになっているかどうかを審査します。

また、返済財源が確保できるかどうかの見通しも同時に確認します。

これらをわかりやすく伝えるには、事業計画書の数値計画が必要です。決算書や試算表のみで審査を依頼するよりも、これからの見通しとともに、融資金額の妥当性と返済財源が確保でいることを数値計画で表したものがあるとベストです。

これがない場合は、融資担当者が自らこれらの項目を稟議書に盛り込まなければならず、融資審査に出すまでに時間がかかります。

最近の融資担当者は1人で70件以上の顧客を担当していますから、1社にたくさんの時間はかけられません。相手が稟議に上げやすい資料をこちらから準備することが融資の審査のスピードアップにつながります。

ご自身で作り方がわからない、難しいと感じられる場合は、税理士などの専門家に依頼するとよいでしょう。

金融機関からみて、保全できるかどうか?

保全できるかどうか?というのは、万が一企業が借入を返せなくなったときに、他の手段で資金を回収できるかどうか、ということです。

不動産などの物的担保や連帯保証人などの人的担保があれば、審査はより通過しやすくなります。

かならずこれらがあれば、融資が通るというわけではなく、あるとプラス材料になるという位置づけです。

担保に提供できるものは、不動産だけでなく、有価証券や売掛金、預金、棚卸資産(きちんとした評価が必要)などもありますので、相談してみましょう。不動産や人的な担保を得ることができないが、法人や個人自体では融資に足る信用力を担保できない場合に、信用保証協会の保証を利用することになります。

個人の信用力はあるか?

融資の審査をするときには必ず個人信用情報機関の情報を参照します。

銀行は銀行系個人信用情報機関KSCだけでなく消費者金融系のJICC、クレジット系の信用情報が集まるCICのすべてに加盟しています。

経営者個人の情報を主に参照していますが、法人の場合はJICCで法人の信用情報を参照します。これらの情報機関に、過去の延滞などの事故歴が登録されていると審査は通りません。

なお、CICであれば、個人の信用情報をインターネットで確認できるので、あらかじめ確認しておくのもよいでしょう。

携帯電話料金の滞納についても信用情報に影響しますので、十分注意が必要です。

事業そのものの有効性はどうか?

金融機関では、「事業性評価」といって、決算書に表れる数値情報のみならず、会社の強みや弱みなどの内部環境、機会や脅威などの外部情報についても積極的に情報提供を受けたいと考えるところが多くなりました。

しかし、金融機関の融資担当者は、1人で70件以上の担当企業を受け持っています。じっくり情報収集をするマンパワーには不足しているため、こちらから開示する必要があります。

でも、どうやって?ローカルベンチマークツールというフォーマットを使うのが便利です。

ほとんどの金融機関では、このローカルベンチマークツールに沿った情報収集をしていますので、このフォームに、自社のことをまとめておき、このまま渡すと、大変喜ばれます。

また、自社のことをまとめる過程で、自らの課題にも気付けることができます。一度整理をしてみるとよいでしょう。

ローカルベンチマークについてはこちらから

最後に

人口減少のなか、企業が減っていくなかで金融機関同士も生き残りをかけて動いています。今は比較的融資が通りやすい時期と言っても過言ではありません。

そのためには、積極的な情報開示が必要です。

自分のビジネスが、融資というお金を出しても、十分にリターンのある有効性があるものであること、地域や雇用に貢献できる将来性があることを、見えるかたち(=ローカルベンチマークツールや事業計画書)で表現することができれば、融資は通りやすくなると思います。少しでもご参考になれば嬉しいです。

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この記事を書いた人
神佐真由美

関西を中心に活動する税理士。自ら道を切り拓く経営者に尊敬の念を頂き、経営者にとって「一番身近なパートナー」になるべく、起業支援や資金調達支援、経営改善や組織再編、事業承継支援など多くの経験を積む。
「会計は現場の行動と成果に結びついてこそ意味がある」をモットーに、ビジネス全体を俯瞰して伴走し、問題解決ができるビジネスドクター税理士として活動中。

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