中小企業にとって、重要な資金調達先のひとつ、日本政策金融公庫。創業も後押ししてくれるセーフティネット的な存在とはいえ、しっかり審査も行われます。審査のポイントを知っていただくことで、事前準備をもれなく行い、スムーズな資金調達に繋げることができます。
日本政策金融公庫からの融資のメリット
日本政策金融公庫からの融資のメリットは、無担保・無保証で融資を受けられる可能性が高いことです。経営者保証ガイドラインが普及してきたとはいえ、民間の金融機関では、ここまで優遇されることはまだまだありません。
融資の審査を受けるには、まず事業計画書が必要となります。
ほとんど書類で審査
融資を申し込むと、まず面談がありますが、面談で多くを話そうと思わないことが大切です。
面談は1件あたり20分くらいとなり、先方からの質問に答えることでほとんどの時間がなくなります。
こちらから伝えたいことについては、事業計画書などの資料にまとめておくことが必要です。
民間金融機関での融資申込についても共通することですが、金融機関では、対応する担当者だけで融資をするわけではありません。担当者の上司やそのまた上司に融資の稟議を上げなくてはならず、口頭でしか伝えなかったことについては、書き留めて伝達することになります。伝えたいことはもれなく資料に盛り込んでおくとよいでしょう。
日本政策金融公庫の審査のポイント
では、どのような点が審査のポイントになるのでしょうか。
事業の見通しが具体的に書かれているか?
創業融資でもそれ以外の事業資金でも共通して言えることですが、事業の見通しが具体的に書くことができているかどうかが重要なポイントとなります。
事業実績のある企業でしたら、過去の実績からみて、かけ離れた計画・見通しになっていないか。
創業であれば、その見通しの根拠が具体的かつわかりやすく書かれているか。
「どうしてその数字になるのか?」
売上であれば、既にいる顧客数やマーケットの状況などから。支出であれば、何にどのくらいお金をかけるのか。
「それなら確かにこのくらいになりそうだ」という納得感を与えられることが大切です。
商品やサービスの競合優位性はどこにあるのか?
ほとんどのビジネスは、既に競合の企業があるものです。
そのなかでも、なぜ、自社が選ばれるのか、今の顧客は、なぜ自社の商品やサービスを選んでくれているのか?客観的な根拠が書いてあるとよいでしょう。
言語化しにくければ、今の顧客にヒアリングしてみることも大切です。頭だけで考えず、実際に聞いてみることが、納得ある事業計画書づくりに役立ちます。
必要な資金と調達方法
融資を受けるのであれば、「何に、どのくらい必要なのか」という情報が必ず必要です。
また、創業の場合は「自分でどこまで調達できているのか」自己資金の確保量が審査ポイントとなります。
創業の場合は、創業に必要なお金の最低でも10分の1を、創業に向けてコツコツお金を貯めることができたかが大きなポイントになります。
既に事業を始めている場合は、融資が必要なお金が「設備資金」「正常運転資金」「つなぎ資金」「納税資金や賞与資金」などのどれに該当するかを明らかにし、その妥当性を伝える必要があります。
そのためには、「資金繰り表」を提出すると有効です。
すでに事業を始めている場合は財務内容
事業をしているとその実績は当然ながら決算書に表れます。決算内容に問題があれば、他の要素でプラスになることは難しいかもしれません。
・営業利益はプラスか?
・経常利益はプラスか?
マイナスである場合は、その根拠と来期はプラスになることの説明が必要です。
・売掛金や在庫金額は適正か?
・純資産がマイナス(債務超過)になっていないか?
負債が資産を上回る債務超過状態であれば、よほど根拠のある経営改善計画を一緒に提出して理解をしてもらわない限り、審査を通過するのは難しいでしょう。
創業の場合は経営者の経歴や能力
創業の場合は、決算書などで評価ができないため、経営者のこれまでの経歴や実績からみる能力を評価しています。これを伝えるには、やはり事業計画書です。
「なぜ、あなたがこれをやる正当性があるのか?」という質問に応えられることが重要です。面談で伝えることも有効ですが、まずは資料に盛り込みましょう。
積極的に相談することも有効
日本政策金融公庫では、事前の相談を受けつけているので、いきなり融資を申し込むのではなく、ある程度事業計画書などの資料をつくった上で、アドバイスをもらうようにすることも有効です。
指摘された箇所をブラッシュアップしていけばよいでしょう。
相談を飛ばしていきなり融資を申込み、NGとなってしまった場合は、「NGの履歴」がつくことになり、しばらく申込みができなくなってしまう(申込をしてもNG回答になる)ため、注意が必要です。
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